エアコン工事で室外機と室内機を接続したら、次に行うのが真空ポンプを使っての真空引きです。
真空ポンプには色々な種類があり、取付するエアコンの能力などによっても選ぶ機種がかわってきます。
ここでは真空ポンプの機能と選ぶ基準、おすすめの真空ポンプをまとめてみました。
真空ポンプの選び方
真空ポンプは構造的に押さえるポイントがあります。
私、エアコン屋が使ってみてここは押さえとかないと!といったポイントや、カタログに書かれている機能や性能のポイントを解説していきたいと思います。
電源が100Vか充電式バッテリーで選ぶ
真空ポンプが動くための電源が何かです。
電源といっても100Vのコンセントから電気をもらうんじゃない?
最近は充電式のバッテリーで動く真空ポンプもあるんだよ
最近、充電式バッテリーの性能が上がって真空ポンプもバッテリーで動くようになりました。
この2つの電源方式を比較してみたいと思います。
電源が100V
あたり前に100Vのコンセントから電源をもらうタイプです。
連続して真空引きをしなければならない時なんかはやはり安定の100V電源です。
また、パッケージエアコンの真空引きや、ルームエアコンでも室外機まで真空引きしなければならない時は断然100V電源のモデルですね。
電源はたとえ遠い場所にあっても電工ドラムなんかで引っ張ってくることは出来ますが、その準備と後片付けが大変です。
壁面の高い所に室外機が設置されている時なんかは電源の確保が更に大変になってきます。
また、電源が無い時はお手上げになっちゃいますね。
アパートのリフォームの時なんかは電気が止められてることがよくあるんだよなぁ。。
電源が充電式バッテリー
マキタやパナソニックの充電式バッテリーで動く真空ポンプです。
なによりも電源を確保する必要がないのが、一番のおすすめポイントです。
場所を変えて真空引きをする時もいちいち電源コードを移動する必要もないですし、高い所でも電源が無い所でも何も問題なく動かすことが出来ます。
専用バッテリーを使っているモデルは少なく、マキタやパナソニックであればインパクトやドリルで使っているものを流用出来ます。
充電式なので使えば電気がなくなってしまいます。
連続で真空引きをする時はいつ電気切れを起こすか気にしながら作業をしなければなりません。
また、ルームエアコンメインなら全然OKですが、パッケージエアコンまでとなると能力的に厳しくなってしまいます。
排気速度
真空ポンプの能力を図る基本的な目安の1つで、真空引きの速さを表す数字です。
カタログ上で○○リットル/minと表示されているものです。
大型のエアコンになるほどエアコン内部の冷媒回路も大きくなり冷媒管も太くなるので、排気する空気の量も多くなります。
エアコンに見合った真空ポンプを用意することによって、より短時間で作業を行うことができます。
メーカーのカタログより排気速度と適応するエアコンをまとめてみました。この排気速度とその他の機能を併せて真空ポンプを選ぶ際の参考にしてください。
排気速度 | 適応するエアコンなど |
~49L/min | ルームエアコン・小型パッケージエアコン(3馬力級) |
50~69L/min | 大型ルームエアコン・カーエアコン・小型~中型パッケージエアコン(7~10馬力級)・冷蔵庫 |
70~129L/min | 中型パッケージエアコン(15馬力級) |
130L/min~ | 冷蔵倉庫・大型パッケージエアコン(30馬力級) |
真空到達度
排気速度と同様に真空ポンプの能力を図る基本的な目安の1つで、カタログ上などでは○○ミクロンと表示されているものです。
水分を嫌う新冷媒(R410A、R32)ではより真空に近づけて冷媒管に残った水分を除去しなければなりません。そのため真空ポンプの真空到達度は最低でも500ミクロン以下が求められます。
現在発売されている真空ポンプは大抵が375ミクロン以下でこの数字をクリアしており、中には7.5ミクロンといった高性能の真空ポンプもあります。
シングルステージとツーステージ
カタログ上でローター方式と記載されているもので、シングルステージとツーステージがあります。
ワンステージは1つのローターで吸気・圧縮を行い、ツーステージは直列につながれた2つのローターで吸気・圧縮を行っています。
より高い能力の真空ポンプを選びたいときはツーステージのものを選びましょう。
2ポールモーターと4ポールモーター
2ポールモーターと4ポールモーターの違いは電極の数の違いです。4ポールモーターは電極の数が4つ、2ポールモーターは電極の数が2つになります。
電極が多いと、より低回転・高トルクで運転することができます。そして低回転であることで音が静かで熱をもちにくいといった利点もあります。
どちらかを選ぶ基準としては、大型パッケージエアコンや冷凍機を扱うかどうかでしょう。
大型パッケージエアコンや冷凍機の真空引きは長時間行う必要があります。4ポールモーターの方が熱をもちにくく、安定した真空引きを行うことが出来ます。
逆にルームエアコンのみを扱っている方は2ポールモーターで十分でしょう。
ガスバラスト弁
真空ポンプ内に冷媒のガスが混じってしまうとオイルが劣化してしまい、真空ポンプの寿命を短くしてしまいます。
ガスバラスト弁は真空引きの前後で空気を吸わせることによって、ガスをオイルに溶け込みにくくして悪影響を事前に防ぐためのものです。
おすすめ真空ポンプ
次におすすめの真空ポンプを紹介します。小型のものから大型のものまで対応機種や重さなど、皆さんが取り扱うエアコンや環境にあったポンプを選んでください。
アサダ 充電式真空ポンプ 1.5CFM
排気速度 | 50 l/min |
真空到達度 | 20Pa(150ミクロン) |
対応機器 | ルームエアコン |
重さ | 3.6kg |
機能 |
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前までルームエアコン取付時の真空ポンプはウルトラミニの真空ポンプをおすすめしていたのですが、この充電式真空ポンプ 1.5CFMが登場してからは断然この機種が一番のおすすめとなりました!
なんといっても電源が充電式であることが一番である理由です。
一度充電式を使ってしまうと、その便利さから元に戻れなくなります!
タスコ ウルトラミニ真空ポンプ TA150SV
排気速度 | 40 l/min |
真空到達度 | 12.7Pa(95ミクロン ) |
対応機器 | ルームエアコン |
重さ | 2.95kg |
サイズ | 160×210mm |
機能 |
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今まで業界最小最軽量だったTA150SB-2を凌ぐ機種です。ガスバラスト弁はついていませんがワンステージで業界最小最軽量2.95kgで持ち運びがとても便利です。
ルームエアコンのみの取付をされていて、100Vの電源であることを気にしなければこれで十分です。
タスコ ウルトラミニ真空ポンプ TA150SW
排気速度 | 40 l/min |
真空到達度 | 3.3Pa(25ミクロン) |
対応機器 | ルームエアコン、~3HP(馬力)程度 |
重さ | 3.75kg |
サイズ | 160×145mm |
機能 |
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コンパクトなサイズでありながらツーステージ、3.3Pa(25ミクロン)まで真空引きできます。
軽い真空ポンプでしっかりと真空引きしたい!といった方にはおすすめのポンプです。
量販店で販売されたエアコンの取付において、最近では真空ポンプはツーステージでなければならないという施工ルールもあるそうです。
量販店の下請けをされている方にとっては最適の真空ポンプだと思います!
タスコ 真空ポンプ TA150XK
排気速度 | 180 l/min |
真空到達度 | 2.0Pa(15ミクロン) |
対応機器 | ~30HP(馬力)程度 |
重さ | 10.9kg |
サイズ | 265×355mm |
機能 |
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けっこう大きめのパッケージエアコン取付をメインにされている方におすすめの真空ポンプです。大は小を兼ねるので、ルームエアコンでも対応可能です!(少し重いですが。。)
まとめ
他にも色々なタイプの真空ポンプが販売されています。
エアコン工事には絶対必要なものなので、自分のされている工事内容に合わせてご用意ください。
真空ポンプは重さと価格さえ気にしなければ、大は小を兼ねるものです。
仕事の幅を狭めないようにある程度余裕がある能力のものを選んだほうがいいかと思います!