皆さん、エアコンのフレア締め付けは何の工具を使って行っていますか?
トルクレンチを使わずに普通のモンキーレンチ等で締め付けを行う場合、締め付けの力加減というものは、経験だけが頼りです。
しかし、ガス漏れ”0”を目指すには経験だけでなく、トルクレンチを使って正しいトルク管理をする必要があります。
トルクレンチの必要性
R410A・R32の新冷媒になってからは圧力がR22の約1.5倍になっており、トルク管理をしっかりしないと締め付け不足、フレア破損によるガス漏れが起きやすくなっています。
締め付けが弱いとガス漏れが起こるは当然ですが、強すぎてもフレアが壊れてガスが漏れてしまいます。最悪の場合は冷媒管がすっぽ抜けてしまうこともあります。
私、エアコン屋もトルクレンチを使わないがために、何回か冷媒管がすっぽ抜けてしまった経験があります。
締め付けが弱くてもダメ、締めすぎてもダメ、新冷媒ではトルクレンチを使ってしっかりと締め付けを行う必要があります。
近年主流のR32フロンガスは可燃性のガスです。
ガス漏れが重大事故につながる恐れももあります!
おすすめトルクレンチ
おすすめと謳うからには、ただ単純にトルク管理をするだけではない作業性についても優れた工具を紹介したいと思います。
BBK ラチェットトルクレンチセットRTQS-41
今、一番のおすすめトルクレンチはBBKのラチェットトルクレンチです。
通常のトルクレンチは締め付けていくとどうしてもレンチを掛け直さなければなりません。しかし、このレンチはラチェット式なので締め終わるまで掛け直す必要がなく、とても便利です。
また、通常のトルクレンチは掛け直す時の角度が60度に対して、このBBKラチェットトルクレンチは戻り角が30度なので、狭い場所でふり幅が無い所でも大変重宝します。
特に隠蔽配管など、エアコン背面の狭いスペースで配管のつなぐ場合に威力を発揮するのではないでしょうか。
トルクレンチ受け側
きちんとした締め付けをするためにはトルクレンチが必要ですが、トルクレンチだけではなく受け側の方もしっかりと固定し、2丁掛けで締め付けなければなりません。
しかし、受け側の方は各メーカーによりサイズが違い、それぞれのメーカーのサイズを覚えることも、それごとにスパナを変えるのも面倒です。
そこで、受け側を固定する工具にもこだわりを持ちたいです。
モンキーレンチ
モンキーレンチは多少高くても良い物を準備した方が幸せになれます。おすすめなのがTOP工業のハイパーモンキZEROです。私は200mmサイズのHM-32がちょうどいいです。
なによりもガタが少なく、ヘッドが小さいのがいいですね。
また、口開きサイズが他の同サイズのモンキーに比べて広く、アゴの出っ張りが無いのもポイントです。
トルクレンチ受け側レンチ
各メーカーごとに違う受け側ユニオン部を1本で対応できるエアコン専用の工具もあります。
BBKのルームエアコン用フィックスレンチ FW-2479です。
業界初のトルクレンチ受け側専用レンチとして発売され、2分3分の冷媒管を使うルームエアコンで受け側のサイズが12、14、17、19mmの4サイズに対応します。
量販店など、現場ごとに違うメーカーを取付されるエアコン屋さんに最適なレンチですね。
トルクレンチの使い方にも注意
私はエアコン修理に行くこともあります。
ガス漏れの修理の時には、施工された工事店さんが「トルクレンチを使っていたのにガスが漏れた!」と言っていることもありますが、いくらトルクレンチを使っていたとしても使い方を間違っていればガスが漏れてしまいます。
一番の注意点はトルクレンチがナットに対してまっすぐに掛けているか?です。斜めに掛けてしまっていると適正にトルク管理が出来ません。
特に高所での作業の場合は足場も不安定になりますので特に注意して行ってください。
1回、”カチッ“っとなっただけでなく、何回か”カチッ“となるまで締め付けるといいかもしれませんね。
まとめ
R22からR410AやR32の新冷媒のフロンガスに移行したことにより、より厳密なトルク管理が必要になってきました。
特に私はルームエアコンなどでよく使用される2分のフレアナットの締め付けが一番気を付けなければならない所だと思っています。
締め付け不足もそうですが、締め付け過ぎのオーバートルクが一番怖いです。
感覚や経験だけではなく、精度のある工具を併せて使用することによって質の高いサービスを提供しましょう。